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遺族からカルテの開示を求められました。
Q.最近亡くなられた患者さんのご遺族の一人からカルテの開示を求められました。医療行為自体には全く問題がなかったため、病院としては開示してもよいのであればしてしまいたいと思っています。ただ、ご遺族間で遺産相続で揉めているようでありもう一人のご遺族からは開示はしないでほしいといわれています。このような場合にもカルテを開示してしまってよいのでしょうか。
ご遺族に対するカルテの開示について
ご遺族に対してカルテの開示については、日本医師会の「診療情報の提供に関する指針」及び厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」の2つのガイドラインがあります。この2つのガイドラインによりますと、死亡に至るまでの診療経過や死亡原因等の診療情報を提供しなければならないとされています。ただ、ご遺族に対して診療情報を提供するにあたって「患者本人の生前の意思、名誉等を十分に尊重することが必要である。」「特に遺族間に争いがある場合には、一層慎重な配慮が必要とされる。」とされています。
したがって、亡くなられた方が死亡した後の遺族への開示を強く拒んでいたような場合には開示をしないほうが望ましい場合もあるかと思います。しかし、そのようなことは稀かと思われますので基本的には開示することになるでしょう。
カルテの開示に際して理由を聞いてもよいのですか?
なるべくは控えられたほうがよいと思われます。
厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」によりますと、「患者等の自由な申立てを阻害しないため、申立ての理由の記載を要求することは不適切であるとしています。そのため、カルテ開示の申請書の中に理由を記載する欄を作るのはやめたほうがよいと思われます。
カルテの開示費用としていくら請求できるのか。
請求できるのは実費を基準とした金額となります。
厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン 」によりますと、「医療・介護関係事業者は、保有個人データの利用目的の通知、又は保有個人データの開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができ、その際には実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、手数料の額を定めなければならない」とされています。