医療訴訟・医療裁判の訴状2ページ目についての解説
このページでは訴状の2ページ目以降にかかれていることの多い「請求の趣旨」と「請求の原因」について説明いたします。訴状1ページ目の開設についてはこちらをご覧ください。
訴状の見方、読み方(2)
医療訴訟・医療裁判の訴状の2ページ目に書かれている記載(常に2ページ目に書かれているとは限りません)について解説いたします。
訴状の1ページ目にはどちらかと言えば裁判が行われる裁判所や当事者といった裁判の前提となる情報が書かれていましたが、2ページ目の「請求の趣旨」以降には具体的な患者側(原告側)の主張や要求が書かれています。
※赤字は私が入れた注釈になりますので実際の訴状には書き込まれておりません。
① 請求の趣旨
患者側(原告)が、裁判によって求めている請求が簡潔に書かれているのが「請求の趣旨」です。医療訴訟、医療裁判では金銭の請求が中心となります。
つまりここでは、患者側(原告)である「乙川一子」氏と「丙山二夫」氏の両名が、「医療法人丁原会」と「丁原次男」先生の両名に対して、おのおの2716万500円(合計で5432万1000円)の支払いを求めているということになります。
ここでは「平成25年4月1日から支払済みまで年5分の割合の金員」という記載もされています。これは、5432万1000円という金額に平成25年4月1日から年5%の損害金をつけてくれ、という申立てです。例えば仮に原告が求めた通りの判決が出たとして、被告側が平成27年4月1日に全額を支払うとした場合には、2年間分の損害金10%を加算する必要がありますので、5432万1000円に543万2100円を加算した5975万3100円を支払うことになります。
なお、この年5%という利率は法律で決められているものです。
「訴訟費用は被告らの負担とする」の箇所ですが、これは患者側(原告)が裁判を起こす際に支払った手数料等を被告側に負担するように求めているものです。訴訟費用については病院・医師の先生の側ではそこまで気にする必要はないと思います。
② 請求の原因 当事者
「請求の原因」では、①の「請求の趣旨」で求めている請求の具体的な内容が書かれることになります。
多くの場合、請求の原因の最初の部分では当事者について説明がなされることが多いでしょう。事情のわからない裁判所に対して登場人物を説明する箇所といえるでしょう。
ここでは、「丙山父治」氏がお亡くなりになっていること、原告である「乙川一子」氏と「丙山二夫」氏が「丙山父治」の子であり相続人であることが書かれています。
また、被告側の医療法人・病院や担当医師についても説明がされています。
③ 請求の原因 事案の概要
当事者についての説明がなされた後には、多くの場合実際に誰に対してどういうことが起きたのかという説明や、患者側(原告)がどういう医療行為が問題だったと考えているのか、ということが書かれることになります。常に「事案の概要」という題名で書かれているとは限らず、内容に応じて「診療の経過」「過失と因果関係」「医学的知見」などといった題名が付けられているかと思います。
この「請求の原因」で患者側(原告)が主張している事柄については、後々、医療側・医師側を担当する弁護士が答弁書や準備書面という反論の書類を作ることになります。
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